愛らしく、奥ゆかしい花びらのソバン
李朝の道具〜ソバン9
ソバン(小膳)は食事を運び、かつ食べるという、なんとも合理的な道具ですがその用の美が見直され多くのファンを持つくらしの道具です。
主に李朝の時代から生活必需品として重宝されたソバン。
厨房で作った料理をすぐに載せ、運び、そのままテーブルとして使われました。また本を読むときの机としても。
比較的軽量の材木を選び一枚板から成形、個性的な脚も釘など使われずほぞ継ぎで接合されています。表面には天然の漆が施され天板の隅の縁が黒くなっているのは人が使い続けた跡…目利きたちは「馴染み」と呼び尊び、この「手ずれ」の跡が際立つものを好んで選んだと聞きます。
スキー板のような足のデザインはオンドルの熱を逃がさぬよう床に油紙を貼っていた為、その紙を破かないための配慮からきたものです。
こちらのソバンは李朝時代のデザインを基に1970年代ごろ制作された比較的新しいものです。
四角や丸、十二角が主流の中、この花びらの天板は愛らしく心が和みます。ツルっとした艶のある天板に表れる板目は美しく、足元は内側に少し曲がった狗足のデザインです。虎足は外にクイと反り上げ威厳を示しているかのよう、狗足はちょこんと行儀良い雰囲気です。ともに李朝時代のソバンの大きなデザインの特徴です。
花びらと狗足…愛らしくて奥ゆかしくて…
細やかな木目と軽さが特徴の銀杏の木材が使われています。女性が片手でも持ち運びできる重さです。
大木を切り、板にし、削りカタチを作りそして漆を塗る。
使い込まれた証の傷までもが愛おしく感じられます。
現代の暮らしにも溶けこみます。
ソファの横で読みかけの雑誌やカップを置いたり、お客様が来られた時はワインをのせておもてなし、和室のしつらえのひとつとして一輪挿しを飾ったり…窓辺に月を愛でながら晩酌もいい感じです。
「用の美」…使われてこそ美しい。現代まで息づく李朝の道具はいくつもの時代を見つめてきたからこそ、輝き続け、これからも私たちを魅了してやまないことでしょう。
□ 素材:銀杏(いちょう)
□ サイズ:Φ36×H24cm
□ アンティークですので薄い傷、小さく丸い跡が見受けられますがとても美しい状態です。すこしがたつきが見受けられます。床に置かれフエルトなどを脚のスキー板の面に貼られ調整されてください。
無垢家具は生きています。
強い光に長時間さらされると、変色や塗装の原因になりますので、なるべく常時直射日光があたりにくい場所に設置してください。また極端な乾燥や湿気の多すぎる場所でのご使用も無垢木に変化を与えてしまいます。
日頃のお手入れは乾拭きか硬く絞った布で拭かれてください。